海女について


2025.11.01

"三重県の静かな海岸の町、伊勢志摩には、稀有な伝統が今も息づいています。雄大な海原を舞台に、古より自然と共に生きてきた女性たち、「海女(あま)」です。


海女は、主に素潜りで海に潜り、アワビやサザエなどの貝類や、テングサ、ワカメなどの海藻類を採集することを生業とする人々を指します。海女は、特別な機材を使わず、自らの体力と経験だけを頼りにする伝統的な漁法です。水中に潜る際の呼吸法や、海の状況、潮の流れを読む知識など、長年にわたって培われた海の知恵と強靭な精神力が求められます。

海女の潜水技術は、食料となる貝や海藻を採るだけでなく、日本の近代史における重要な産業をも支えてきました。それは、伊勢志摩の海で生まれた真珠養殖です。
海女たちは、真珠の母貝となるアコヤ貝の採集に重要な役割を果たしました。深く潜り、水中作業に長けた海女たちの存在なくして、伊勢志摩が世界の真珠産業の中心地となることはあり得なかったのです。海女の潜水技術は、海の恵みだけでなく、「宝石」をも生み出した、まさに稀有な伝統技術なのです。

現在、伊勢志摩には全国の海女の半数にあたる約1,000人が活躍していますが、その数は高齢化と後継者不足という厳しい現実に直面しています。また、海洋環境の変化によるアワビや海藻などの資源の減少も深刻な課題です。

しかし、海女たちはその伝統を絶やさぬよう、獲りすぎを防ぐための自主的な禁漁期間の設定や、稚貝の放流など、持続可能な漁業に真摯に取り組んでいます。さらに、漁を終えた海女と交流し、獲れたての海の幸を楽しむ「海女小屋体験」は、海女文化を身近に感じられる観光として人気を集め、伝統を未来に繋ぐ新たな道を開いています。

海女漁が行われる伊勢志摩では、海女たちが地域の伝統を守り、海と共に生きる誇り高き存在として、今もなお大切にされています。海女の姿は、私たちに海の雄大さと、自然の恵みに感謝する心、そして昔ながらの生活様式を伝える貴重な存在と言えるでしょう。海女の暮らす地域を訪れることは、日本の奥深い文化と海の魅力に触れる旅になるはずです。

MIEscapeは、この類まれな女性たちと潜り、対話するための、敬意に満ちた機会を提供します。
海女たちの暮らす地域を訪れることは、日本の奥深い文化と海の魅力に触れる旅になるはずです。"

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